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ひとり人事が最初にやること|採用・勤怠・評価の順番と手放し方

公開日 2026年10月27日 監修 内藤 貴皓(RECRUIT BOOSTER株式会社 代表取締役・『採用大全』著者)

ひとり人事が最初にやること|採用・勤怠・評価の順番と手放し方

ひとり人事になったら、最初に決めるのは受け持つ仕事の範囲と順番です。採用、入退社の手続き、勤怠、給与、評価を同時に完璧に整えようとすると、どれも途中で止まりやすくなるためです。具体的には、いまの仕事を書き出し、採用の入口を止めない形にし、入退社と勤怠の記録を一箇所に寄せ、評価と給与を説明できる型をつくる日付を決める、という4つの順番で進めます。

この記事では、ひとり人事や兼任で人事を受け持つことになった方に向けて、最初にやる4つのことと、自分で抱えずに手放してよい仕事の見分け方を、監修者の採用・人事の実務経験をもとに説明します。

ひとり人事が最初にやること4つの順番

全部を同時に完璧にしようとすると止まる。最初に決めるのは範囲と順番

ひとり人事の仕事が止まりやすくなる背景には、仕事の量に加えて、仕事どうしのつながりがあります。人事の仕事は互いに関係していて、ひとつを整えると別の仕事が増えることが多いためです。

たとえば採用が進んで入社する方が増えると、入社時の書類集めや勤怠の登録、給与の設定が続けて発生します。評価の基準がないまま昇給の時期を迎えると、給与の決め方を社員に説明できず、社長や上司の方に毎回確認する手間が生まれます。

このつながりを考えずに目の前の仕事から手を付けると、採用の連絡が遅れている間に入社手続きがたまり、評価制度づくりはいつまでも始まらない状態になりがちです。そのため最初の数週間は、個々の仕事を仕上げることよりも、何を自分が受け持ち、どの順番で整えるかを決めることに時間を使います。

ひとり人事が抱えやすい仕事の全体像

ひとり人事が受け持つ仕事は、大きく4つのまとまりに分けられます。会社の規模や業種によって中身は変わりますが、まずはこの4つに当てはめて、自社でどの仕事が発生しているかを確認してください。

仕事のまとまり主な中身止まったときに起きやすいこと最初の手の付け方
採用求人の作成と掲載、応募者への連絡、面接の日程調整、合否の連絡応募者への返信が遅れ、辞退や選考の取りこぼしが起きる今週の応募対応を止めない形にする
入退社・勤怠入社・退社時の書類と手続き、勤怠の記録と締め、休暇の管理書類の不足や記録の抜けが、給与計算や手続きの段階で見つかる記録の置き場所を一箇所に寄せる
給与の説明材料給与の決め方、昇給・賞与の考え方、給与計算に渡す情報の整理社員から給与の根拠を聞かれても答えられない決め方を書き出し、説明できる型にする
評価評価の項目と基準、面談の時期と進め方、結果の記録評価が上司ごとにばらつき、昇給の理由を説明できない型をつくる日付を先に決める

給与計算そのものは外部の専門家に任せている会社も多くあります。その場合でも、計算の元になる勤怠の記録や、給与の決め方を社員に説明する材料は社内で用意する必要があるため、表では「給与の説明材料」としてまとめています。給与計算を外部に任せる場合の考え方は、人事代行・給与計算の外部委託の記事で解説しています。

最初にやること1:いま誰が何をしているかを書き出す

最初に、社内で発生している人事の仕事を一覧にします。社長、総務、経理、各部署の責任者など、人事担当として名前が付いていない方が受け持っている仕事も含めて書き出してください。

一覧には、次の5つの項目を並べると整理しやすくなります。

  1. 仕事の名前(例:応募者への返信、入社書類の回収、勤怠の締め)
  2. いま受け持っている方
  3. 発生する頻度と締め切り(毎日、毎月の締め日、年1回など)
  4. 使っている書類や道具(紙、共有の表、勤怠の仕組み、メールなど)
  5. 止まったときに困る方と、その影響

書き出した仕事は、「自分で受け持つ」「ほかの方や外部に任せる」「時期を決めて待つ」の3つに分けます。法律で期限が決まっている手続きや、応募者・社員を待たせてしまう仕事は、自分で受け持つか確実に任せる先を決めます。制度づくりのように急がないものの放置できない仕事は、着手する日付を決めたうえで待つ側に置きます。

仕事の分け方(自分で受け持つ/任せる/日付を決めて待つ)

この一覧ができると、上司や社長の方と「どこまでを人事担当が受け持つか」を話し合う材料になります。ひとりで抱える範囲を最初に合意しておくことが、手放し方を決める第一歩です。

最初にやること2:採用の入口(求人・応募対応)を今週止めない形にする

人事の仕事のなかでも、採用の入口は止まったときの影響がすぐに表れます。応募者は複数の会社に同時に応募していることが多く、返信が遅れるとそのまま他社に決まってしまうことがあるためです。

採用の仕組みを一から作り直す前に、今週の応募対応が止まらない状態を先につくります。

  1. 掲載中の求人と応募の受付窓口を確認する(どの求人サイトやハローワーク、自社の採用ページに求人が出ているか、応募がどこに届くか)
  2. 応募者への返信を誰がいつまでに行うかを決める
  3. 書類選考の結果、面接日程の案内、合否の連絡について、返信文のひな形を用意する
  4. 応募者の一覧を一箇所にまとめ、選考の状況が誰にでも分かるようにする
  5. 面接で確認する項目を、面接を担当する方とそろえておく

求人の内容の書き換えや採用ページの改善は、応募が来たときに返信が遅れない状態をつくってから進めると、その間の取りこぼしを防げます。

最初にやること3:入退社と勤怠の記録を一箇所に寄せる

採用の入口を整えたら、次は入社・退社と勤怠の記録です。記録が担当者ごとの手元やメールに散らばっていると、給与計算や各種手続きの段階で不足に気づき、確認のやり取りが増えてしまいます。

労働基準法では、会社が事業場ごとに労働者名簿と賃金台帳を作成し、必要な事項を記入することが定められています(第107条・第108条)。ひとり人事の担当になったら、これらがどこに保管され、誰が更新しているかを最初に確認しておくと安心です。

記録を寄せるときは、次の順番で進めます。

  1. 入社時に集める書類と、退社時に行う手続きの一覧をつくる
  2. 社員ごとの書類と記録を保管する場所を一箇所に決める
  3. 勤怠の記録方法と、毎月の締め日・確認する方を決める
  4. 給与計算を外部に任せている場合は、渡す情報と期限を一覧にそろえる

社会保険や雇用保険の手続きの細かな判断は、社会保険労務士など専門家に確認しながら進めてください。社内では、手続きに必要な情報がそろう状態をつくることに集中すると、ひとりでも抜けを減らせます。

最初にやること4:評価と給与の「説明できる型」を後回しにしない日付を決める

評価制度と給与の決め方は、すぐに困ることが少ないぶん、気づくと後回しになりやすい仕事です。一方で、昇給や賞与の時期を迎えてから慌てて基準をつくると、社員に納得してもらえる説明が難しくなります。

そのため最初の段階では、制度を完成させることよりも、型をつくる日付を先に決めます。次の昇給や賞与、評価面談の時期を確認し、そこから逆算して、いつまでに案をつくり、いつ社長や上司の方と確認するかを予定に入れてください。

最初の型は、次のように小さく始めると進めやすくなります。

  1. いまの給与がどのように決まっているかを、社長や上司の方に聞いて書き出す
  2. 評価の項目を少数に絞り、それぞれ何ができていれば評価されるかを言葉にする
  3. 評価面談の時期と、面談で話す内容を決める
  4. 評価の結果と給与の関係を、社員に説明できる文章にまとめる

説明できる型を先に用意し、実際の評価や昇給で使いながら見直していくと、ひとり人事でも無理なく続けられます。

よくある寄り道(ツール先行・採用だけ外注・全部自分)

ひとり人事の立ち上げでは、良かれと思って選んだ進め方が、かえって整うまでの時間を延ばしてしまうことがあります。よく見られる3つの寄り道を紹介します。

ツールを先に入れる

勤怠や評価、採用の管理ツールを先に契約すると、ツールに合わせて仕事を決めることになりがちです。誰が何をしているかが整理されていない段階で入れると、設定が終わらないまま使われなくなることもあります。仕事の一覧と順番を決めてから、その仕事に合うツールを選ぶほうが、導入後に定着しやすくなります。

採用だけを外部に任せる

採用代行を使って応募対応を任せること自体は、ひとり人事の負担を減らす有効な方法です。ただし採用だけを外部に任せて、入社後の手続きや勤怠、評価の準備が社内で進んでいないと、入社した方を受け入れる段階で仕事が詰まります。採用を外部に任せる場合の費用の考え方は、採用代行の費用相場の記事で解説しています。

全部を自分で抱える

ひとり人事を任されると、すべての仕事を自分でやらなければならないと考えてしまいがちです。しかし給与計算や社会保険の手続きのように外部の専門家に任せられる仕事もあり、各部署の責任者に面接や評価の一部を受け持ってもらうこともできます。最初にやること1でつくった一覧をもとに、任せる仕事と任せる先を決めておくと、ひとりで抱える範囲を減らせます。

AIのツールや研修を取り入れても仕事が止まってしまう場合の理由と、仕組みが残る支援の見分け方は、AIを入れても人事が整わない理由で解説しています。

専門家とAIで仕組みを社内に残す選択肢

ひとり人事の仕事を外部に任せると、その場の負担は減りますが、契約が終わったあとに社内に何も残らないことがあります。仕事の順番と手順を社内に残し、担当の方が替わっても続けられる状態をつくるには、人事の専門家と一緒にAIを使った仕組みを整える方法もあります。

RECRUIT BOOSTERのAI採用BOOSTERは、採用代行をしながら、貴社のアカウントに残る「採用AI」をつくる支援です。求人票やスカウト、候補者対応などの実務を代行するなかで自動化する作業を決め、設定は貴社名義のアカウントに残します。契約後も担当の方だけで同じ作業を続けられる状態を目指します。

支援の内容と進め方は、AI採用BOOSTERのページでご覧ください。採用のどこから自動化するかを相談したい方は、30分か60分の無料相談もご利用いただけます。会社全体へのご相談は、お問い合わせページからも受け付けています。

よくある質問

ひとり人事は何から手を付けるべきですか?

まず、いま社内で誰がどの人事の仕事をしているかを書き出すことから始めます。仕事の全体像と締め切りが見えると、自分で受け持つ仕事、任せる仕事、時期を決めて待つ仕事を分けられるためです。そのうえで、採用の入口、入退社と勤怠の記録、評価と給与の説明の型の順に整えていきます。

ひとり人事は、採用と評価のどちらを先にしますか?

採用の入口を先に整え、評価は型をつくる日付を決めて並行で準備します。応募者への返信の遅れはすぐに取りこぼしにつながる一方で、評価制度は次の昇給や面談の時期から逆算して準備できるためです。評価を後回しにし続けると給与の説明ができなくなるため、日付だけは最初に決めておきます。

人事の担当者がいない会社でも、外部に全部頼めますか?

給与計算や社会保険の手続き、採用の応募対応など、多くの実務は外部に依頼できます。ただし、どの仕事を優先するか、評価で何を大切にするか、給与をどう決めるかといった会社としての決定は、社内で行う必要があります。外部に任せる仕事と社内で決めることを分けたうえで、依頼先を選ぶと進めやすくなります。

AI採用BOOSTERでは何を支援しますか?

採用代行を行いながら、求人票・スカウト・候補者対応などのうち自動化する作業を貴社と決め、貴社名義のアカウントに設定を残します。担当の方が自分で動かせるまで研修し、契約後も社内で続けられる形に整えることを目指します。詳しくはAI採用BOOSTERのページをご覧ください。

まとめ

ひとり人事が最初にやることは、受け持つ仕事の範囲と順番を決めることです。いまの仕事を書き出し、採用の入口を止めない形にし、入退社と勤怠の記録を一箇所に寄せ、評価と給与の説明の型をつくる日付を決める、という順番で進めると、すべてを同時に抱えて止まる状態を避けられます。自分で受け持つ仕事と任せる仕事を分け、手順を社内に残していくことが、ひとり人事を無理なく続ける近道です。

出典

  • 労働基準法(e-Gov法令検索) 第107条(労働者名簿)・第108条(賃金台帳)
  • 本稿の手順と仕事の分け方は、監修者の採用・人事の実務経験をもとに整理したものです。
  • 参照した自社ページ:AI採用BOOSTER
内藤 貴皓

この記事の監修者

内藤 貴皓

RECRUIT BOOSTER株式会社 代表取締役。出版社の人事、株式会社FiNC Technologiesの人事戦略部(エンジニア・デザイナーの中途採用、評価制度の設計)を経て、2021年に独立。ベンチャー・スタートアップを中心に30社以上の採用を支援。著書『採用大全』(総合法令出版)。

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